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白髪染めで髪が細くなった、回復のためにできること

白髪染めを重ねるうちに髪が細くなってきたと感じる方に向けて、髪と頭皮が変わる時期の見立て、染料や施術の見直し、家で続けたいケアについて、店でお話ししている内容をまとめました。

店主 小野澤 祥子

髪が細くなる時期

「最近、髪が細くなった気がするんです」とおっしゃりながら、そっと分け目に手をやるお客様の姿を、うちの店でもよく拝見します。朝、ドライヤーを持ち上げたときに感じる軽さや、耳の後ろで束ねたときのボリュームの変化に、ふとした瞬間に気づかれることが多いように感じます。

わたし自身も同じ時期を歩いてきたので、その手ざわりの違いはよく分かります。40 代の後半から 50 代にかけて、女性のからだは少しずつ変わっていきます。ホルモンのバランス、頭皮の血のめぐり、これまでの染料の積み重ね、そういうものが重なって、髪一本一本の芯が細くなっていくように感じます。

分け目が透けて見えるのは、必ずしも本数が減ったからではありません。一本の芯が細くなったぶん、束としての厚みが薄くなっているだけ、ということもよくあります。ここが分かると、鏡の前で肩を落とす気持ちが少し軽くなるように思います。

大切にしたいのは、この時期を「もう戻らない」と決めつけないことです。細くなった髪も、頭皮の環境が整えば、これから伸びてくる毛にハリやコシが乗ってくることがあります。回復というのは、育ちやすい土をゆっくり用意していく、そういう時間の話なのだろうと感じています。

染料と施術の見直し

髪が細くなってきたと感じたら、いま使っている染料と施術のペースを一度立ち止まって眺めていただきたいと思います。

ジアミン系の染料は白髪をしっかり覆ってくれる反面、頭皮への刺激が積み重なりやすい面があります。染めるたびにしみる、赤みが引かないうちに次の染めが来る、その状態が続いていると、根元から育つ新しい髪の環境も削られていきます。染めた翌日に強いかゆみが残るときは、皮膚科でのご相談もあわせて考えていただけると安心です。

うちの店では、そういう時期に「香草カラー」というノンジアミンの染料をお試しいただくことがあります。ヘナや藍染などのハーブを、アーユルヴェーダの考え方で扱ったものです。髪の内側を膨らませて色を差し込むのではなく、表面にゆっくり色を重ねていく染まり方をするので、細くなった髪の手ざわりに厚みが戻ってきた、と話してくださる方がいらっしゃいます。

もうひとつ見直せるのが、染める頻度です。4 週間ごとに全体を染めていた方が、根元だけを 5〜6 週間に一度、全体は 2〜3 回に一度に切り替えていくと、髪と頭皮が休める時間が生まれます。伸びてきた白髪の見え方は、分け目の位置や前髪の作り方でずいぶん変わってきますので、そのあたりはカットのときに一緒に相談していきます。

ホームケアで意識したいこと

家で過ごす時間のほうが、店にいる時間よりずっと長いものです。細くなってきた髪の回復を考えるなら、日々のシャンプーと乾かし方が土台になります。

シャンプーは、髪ではなく頭皮を洗うつもりで、手のひらでしっかり泡立ててから頭にのせていきます。指の腹で耳の後ろから頭頂に向かって、頭の骨の上で皮膚が少し動くくらいの力で動かします。洗浄成分は、パッケージの裏に「ココイル」「ラウロイル」と書かれたアミノ酸系のものが、頭皮のうるおいを残しやすいように感じます。

トリートメントは毛先だけに、というのもよくお伝えしています。根元まで塗り込んでしまうと、細い髪ほど立ち上がりが重くなり、余計に薄く見えてしまうからです。かわりに、頭皮そのものが気になる方には、洗い流さないタイプの頭皮用ローションを分け目にすこし置いていただくことがあります。

乾かすときは、根元から風を通していきます。手ぐしで頭皮に空気を入れながら、根元 7 割、中間 2 割、毛先 1 割くらいの意識で当てて、乾き終わりに冷風を 20 秒ほど。それだけで翌朝のふんわり感が変わってきます。

食事や睡眠の話は、髪の話でありながら、からだ全体の話でもあります。すぐに劇的な変化が出るものではありませんが、頭皮に流れる血のめぐりを整える工夫は、少しずつ髪に返ってくるように感じます。

細くなってしまったな、と感じる時期は、これまでの染めかたを一度見直す合図のようにも思います。焦らず、いまの髪と頭皮に合うやり方を、来店のたびに少しずつ組み立てていけたら嬉しいです。