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パラフェニレンジアミン(PPD)を避ける染料の選び方

白髪染めの主役である PPD がどのように色を作り、なぜ突然しみるようになるのか。ノンジアミン染料の見分け方、成分表示の読み方、美容室での相談のコツを、店の経験からまとめました。

店主 小野澤 祥子

PPD の役割と反応

パラフェニレンジアミン、略して PPD と呼ばれる成分は、白髪染めの色持ちと発色の中心を担ってきた染料です。酸化染料と呼ばれるグループの代表格で、過酸化水素などの酸化剤と反応することで、髪の内側に色を作ります。しっかり染まる、退色しにくい、色の幅が広い。この三拍子がそろっているので、一般的な白髪染めの多くに使われています。

一方で、「染めた翌日から頭皮がヒリヒリするんです」「顔まわりが赤くなって、しばらく引かなくて」というお声を伺うことがあります。長年同じ薬剤で染めてきた方が、あるときから急にしみるようになった、というお話も少なくありません。ジアミンによるアレルギー反応は、繰り返し使ううちに体の側が反応を覚えていく、後天的な性質を持つと言われています。

はじめは平気だったのに、と伺うたびに、髪だけでなく頭皮の状態を並べて考える必要があるのだと感じます。かゆみや赤みは、体からのちいさなお知らせのようなものです。

ノンジアミン染料の見分け方

「ノンジアミン」と書かれている商品は、PPD やその近い仲間の酸化染料を使っていない、という意味で使われています。ただ、この言葉自体には明確な決まりがなく、店やメーカーによって指しているものが違うこともあります。

見分けるときに、わたしが最初に見るのは全成分表示です。パラフェニレンジアミン、トルエン 2,5 ジアミン、パラアミノフェノール。こうした名前が並んでいれば、それは酸化染料タイプ。いっぽうでヘナ、藍、インディゴ、コーヒー、ハーブの学名など、植物名が染料の位置にあれば、それはヘナや香草カラーと呼ばれる系統です。

紛らわしいのが、「ヘナ配合」と書かれていても酸化染料が主役の商品があること。配合順、つまり成分表の並び順を見て、染料がどこにあるかを確かめると、実際の性格が見えてきます。ヘナや藍が上のほうにあれば植物寄り、酸化染料が上位にあれば化学染料が中心。そう読んでいくと、パッケージのイメージと中身が離れているものにも気づけます。

塩基性染料や HC 染料も、ジアミンフリーで色を入れられる染料の仲間です。しみにくい代わりに、色が徐々に抜けやすい傾向があります。ここは伝えておかないと、期待とのずれが起こりやすいところです。

美容室での相談の仕方

かかりつけの美容室があるなら、「ジアミンが心配で」と一言添えるだけで、話は動きやすくなります。過去にしみたことがあるか、パッチテストで反応が出たか、皮膚科でアレルギーを指摘されたか。この3つを整理して伝えると、担当者もどこまでの薬剤なら使えそうかを判断しやすくなります。

初めての店に相談するときは、いま使っている薬剤の名前や、ご自宅で染めているならその商品名を控えておくと確かです。パッケージの写真を一枚撮っておくだけでも十分。相手も具体的に答えられるようになります。

かゆみや赤みが強いときは、美容室での判断だけで進めず、皮膚科でのご相談も一緒に考えていただければと思います。染めるか染めないかの二択ではなく、いまの頭皮の状態に合わせて染料を切り替えていく。そんな段階的な選び方があります。

うちの店では、初めての方には髪と頭皮を一度見せていただいて、ヘナや藍を使う香草カラーと、しみにくいタイプのカラー剤を並べて、そのお客様の色や暮らしに合う配分を一緒に考えています。合わないものを無理に続けなくてもいい。染料を変えるだけで、白髪染めの時間そのものが変わっていく方を、これまで何人も見てきました。