TECHNIQUE
ノンジアミンカラーとは、アルカリカラーとの違い
一般的なアルカリカラーで使われるジアミン系染料が担う役割、それを含まないノンジアミン染料でできること・できないこと、そして両者の中間に位置する香草カラーの立ち位置を、白髪染めのご相談を伺いながら整理しています。
「ノンジアミンって、普通のカラーと何が違うんですか」。カウンセリングの席で、こう聞かれることがよくあります。雑誌やネットで名前は目にしていても、実際にどう違うのかまではわからないまま、というお声が多いように感じます。
言葉のうえでは「ジアミンが入っているか、いないか」という単純な違いです。ただ、その一言のうしろに、白髪を染める仕組みそのものの差があります。今日はそのあたりを、なるべく普段の言葉で並べてみます。
ジアミンの働きと一般的なカラー剤
美容室で長く使われてきた白髪染めや、いわゆるおしゃれ染めは、酸化染料という染めかたの仲間です。中身をおおまかに言うと、ジアミン系の色素と、それを発色させるためのアルカリ剤、そして過酸化水素の組み合わせで髪を染めていきます。
キューティクルをアルカリで少しゆるめて、髪の内側に色の素を入れる。そこで酸化反応が起きて、はじめて色として立ち上がってくる、という段取りです。ジアミンは、この発色の中心を担う染料の代表格で、パラフェニレンジアミン、略して PPD という名前で呼ばれることもあります。
しっかりと濃く染まって、色が抜けにくい。白髪の量が多い方でも、根元がぼやけず均一に色が乗る。これがジアミンの持つ大きな長所です。長年、この染料が白髪染めの主役でありつづけてきたのは、それだけの働きをしてくれるからだと思います。
いっぽうで、繰り返し肌に触れることで、あるとき急に反応が出ることがある成分でもあります。「昨年までは平気だったのに、今年に入ってから、洗い流したあと頭皮がピリピリするようになって」というお声を伺うことも少なくありません。そのときは、ジアミンをいったん体からはなす時間を持ちましょうか、というご提案をします。
ノンジアミンの染料でできること・できないこと
ノンジアミンカラーというのは、この PPD をはじめとするジアミン系の染料を配合しない白髪染めのことを指します。代表的なのは、植物のヘナ、藍染(インディゴ)、それにマニキュアやカラートリートメントの一部です。
いちばんの特徴は、ジアミンに反応してしまう方でも試しやすいこと。頭皮のヒリつきを抱えていた方が、ノンジアミンに切り替えてから施術中のつらさが減った、というお声はよく伺います。ジアミンによるアレルギーのリスクを避けたい方にとって、これは大きな安心材料になります。
ただ、できないこともあります。いわゆるアルカリカラーのような自由な色作りは、基本的にできません。ヘナはローソンという色素で染まるので、単体だとオレンジ〜赤茶に落ち着きます。藍染を重ねてブラウン寄りに近づけることはできますが、明るい茶色や、透明感のあるアッシュ系を再現するのは難しいです。
黒髪を明るく脱色する働きもありません。ノンジアミンの染料は、髪の外側やたんぱく質に色を絡めるように染まっていくので、もとの髪を脱色したうえで新しい色を入れる、というアルカリカラーの発想とは仕組みそのものが違います。「白髪を染める」ことに向いた染料であって、「髪を明るくする」道具ではない、というご説明をすることが多いです。
染まるまでの時間もそこそこかかります。ヘナのペーストを塗ってから 30 分〜1 時間ほど、藍染まで重ねると、全体で 3 時間くらい椅子に座っていただくことになります。この時間の使い方も含めて、ご自分に合うかどうかを考えていただければと思います。
香草カラーの位置づけ
香草カラーは、アルカリカラーとノンジアミンのちょうど中間に立っている染料、というのがわたしの見方です。少量のジアミン系色素をベースにしつつ、そこに植物のパウダーや薬草エキスを合わせて練り上げていく。ジアミンをまったくのゼロにするのではなく、量を減らして、そのぶん髪や頭皮への刺激をやわらげる方向に舵を切った染料、と言えばわかりやすいかもしれません。
だから、色作りの幅は一般的な白髪染めに近いです。深いブラウンも、少し赤みを抑えたトーンも、レシピを組み替えることで対応できます。「同窓会があるから、いつもより落ち着いた色で」というご要望にも合わせやすい。「白髪はきっちり染めたいけれど、頭皮の負担は減らしたい」というお声のときに、まっさきに候補として上がってくる染料です。
ただ、ジアミンが少量とはいえ入るので、過去にアレルギー反応が出たことのある方には、いきなり全頭には使いません。パッチテストからご相談することが多いですし、症状によっては、香草カラーではなくヘナからスタートしましょうか、とお伝えすることもあります。頭皮の赤みやかゆみが強い時期には、皮膚科でのご相談も並行していただくよう、あわせてお伝えしています。
アオイヘアーでは、一般的なアルカリカラーと、香草カラーと、ヘナ(藍染を含むツータッチ)の 3 つを使い分けています。基準はその方の頭皮の状態やなりたい色。通っていただけるペースに合わせながらご提案しています。「ノンジアミンだから安心」「アルカリカラーだから危ない」という単純な二択ではなくて、あいだにはゆるやかなグラデーションがあります。
頭皮がしみると感じ始めた方も、これから染料を選び直したい方も、いまの状態を伺うところから始めます。気になることがあれば、電話でもメッセージでも、遠慮なく聞かせてください。