TECHNIQUE
香草カラーで染まる色、染まらない色
香草カラーはハーブ由来の染料で、作れる色の範囲は化学染料と少し違います。明るい茶や鮮やかな赤は出にくく、白髪の量によって仕上がりの見え方も変わります。色の出方を落ち着いてお伝えします。
ハーブ染料で作れる色の範囲
香草カラーをはじめて受けられる方から、施術前によく伺うご質問があります。「アッシュ系にできますか」「明るい茶色にしたいのですが」といったご相談です。
わたしがお答えするのは、ハーブ由来の染料で作れる色は、大まかに言うと茶系、深めの赤茶、黒に近い暗めの色、そのあたりに落ち着くという話です。ヘナはオレンジ寄り、藍を重ねると緑や黒に近づき、木藍やアンナトー、そのほかの植物染料を組み合わせて色味を調整していきます。
化学染料のように、青みの強いアッシュや、はっきりした赤紫、鮮やかなオレンジといった発色は、香草カラーだけでは作れません。植物の色素が持っている範囲のなかで、混ぜ合わせて近づけていく色になります。ここは化学染料とは違う土俵の話だと、わたしは感じています。
明るく染めたい方への説明
「もう少し明るくしたいのですが」というご希望も、よく伺います。ここは正直にお伝えする部分です。香草カラーは、髪を明るくする力を持っていません。ブリーチのように、髪のなかのメラニンを抜くはたらきがないからです。
ですから、いま暗めの髪色の方が、香草カラーで明るく変えていくのはむずかしいです。染めていくたびに色は重なって、むしろ深く落ち着いていきます。「白髪が伸びてくると根元が明るく見える」「地毛より少し明るい茶色に染めたい」という場合は、化学染料と組み合わせる方法を考えたり、色の設計そのものを少し変えたりします。
染まらないものを染まると言うのは、あとで信頼を失うことのように思うので、うちの店では最初にお話しするようにしています。ご希望を伺いながら、その髪と頭皮に無理のない範囲を一緒に探る時間になります。
白髪の量による見え方
同じ配合で染めても、仕上がりが違って見えるのは、白髪の割合が人それぞれ違うからです。
白髪が多い方は、ハーブが乗った部分がはっきりと発色します。オレンジ寄りに見える方もいれば、藍を重ねて深めの茶に落ち着かせる方もいます。逆に、白髪の少ない方は、黒髪の上にうっすら赤みが差すような、光の当たり方で気づく程度の変化になります。
「思ったより赤く出ました」「もう少し暗くしたかった」というお声もいただきます。染めた直後は色が鮮やかに出やすく、数日かけて空気に触れながら落ち着いてくる、という性質もあります。すぐに判断するよりも、一週間ほど過ごしてから、次の回で配合を微調整していく方が多いです。
染まる色、染まらない色を知っておいていただくと、香草カラーとの付き合い方がラクになるように感じます。写真の色見本を持ってきていただければ、その色がハーブで作れる範囲なのか、正直にお答えします。無理のない色で、髪と頭皮の心地よさを続けていくほうが、長い目で見て気持ちが軽くなると感じています。