TECHNIQUE
香草カラーの成分、アーユルヴェーダのハーブを店主が説明します
香草カラーに入っているヘナや藍、アムラといったアーユルヴェーダのハーブそれぞれの中身、頭皮への働きかた、白髪に色がついていく仕組みを、うちの店で長く染めてきた経験をもとに書いています。
香草カラーに入っているハーブ
「香草カラーって、何が入っているんですか」と、初めていらしたお客様からよく聞かれます。名前だけ聞くと、いかにも自然派という響きで、かえって中身が見えにくいのかもしれません。
香草カラーの中心にあるのは、インドの伝統医学であるアーユルヴェーダで昔から使われてきたハーブです。ヘナ、藍(インディゴ)、アムラ、シカカイ、ブラーミー、ニームといった葉や実を、粉にしてお湯で溶いてから髪にのせていきます。
わたしがうちの店で使っている配合では、ヘナと藍が色をつくる軸になり、そこにアムラやシカカイが頭皮と髪の状態を整える役目で入っています。ハーブ同士は喧嘩しないので、白髪染めをしながら頭皮ケアも同時に進んでいくようなイメージです。
香草カラーには、少量のジアミン(酸化染料)を混ぜたタイプと、ジアミンをまったく使わないタイプがあります。うちの店ではノンジアミンの香草カラーもご用意していて、体質やこれまでのかぶれの経験を伺ってから、どちらでいくかを決めています。
頭皮への働き
「白髪染めをするたびに、頭皮がヒリヒリしてつらいんです」と話してくださる方が、本当に多いです。長く同じカラー剤を続けてきた方ほど、頭皮の赤みやかゆみを感じやすくなっていくように思います。
アーユルヴェーダのハーブは、もともと頭や髪のためのケアとして続いてきた植物です。ヘナには、ペーストを塗ったときにひんやり感じる作用があり、夏場の火照った頭皮を落ち着かせてくれるように感じます。
アムラは、インドではフルーツとして食べられるほど親しまれていて、髪のツヤやハリに関わる成分として知られています。シカカイは、天然の界面活性の働きで頭皮の汚れを穏やかに落としてくれる植物です。ブラーミーは、頭皮のマッサージ用オイルにも入っていて、地肌をゆるめるのを助けます。
とはいえ、植物だからどなたにでも合う、とは言いきれません。ヘナやハーブでも、ごくまれにかゆみが出る方がいらっしゃいます。初めての方にはパッチテストをしてから施術に入っていただいているのは、そのためです。もし染めたあとにかゆみや発疹が続くようなら、皮膚科でのご相談もおすすめします。
色を作る仕組み
香草カラーで一番不思議に感じるのが、髪に色がついていくまでの流れかもしれません。ヘナだけで染めると、白髪はオレンジ色になります。オレンジ一色のままでは、日本人の髪色にはなじみにくいのです。
ここで登場するのが、藍(インディゴ)です。藍は、日本でも布を染めるのに使われてきた植物で、青の色素を持っています。ヘナのオレンジと藍の青が髪の中で重なることで、茶色や深いブラウンにつながっていきます。
配合を変えれば、明るめのブラウン、赤みを残した栗色、黒に近い落ち着いた色まで、ある程度の幅で調整できます。ただし、化学染料のような「色見本そのままの再現」は難しい染めかたです。もともとの髪色、白髪の量、これまでのカラー履歴で、仕上がりは少しずつ変わっていきます。
わたしが染める前にお客様とお話しする時間を長めに取っているのは、そのためです。「先月はこのくらいの明るさだった」「この夏は少し明るくしたい」といった感覚を伺いながら、粉の割合を決めていきます。
香草カラーは即効性というより、続けるほどに髪と頭皮が育っていく染めかたです。一度で理想の色に着地させようとせず、季節ごとに調整しながらお付き合いいただけたらと思います。気になる点があれば、ご予約のときや電話でお気軽にお伝えください。