TECHNIQUE

藍染(ツータッチ)で深い色に落ち着かせる仕組み

ヘナのオレンジに藍を重ねる「ツータッチ」の仕組みを、二度染めの流れ、赤みが抑えられる理由、通うペースの目安の順にまとめました。白髪染めの色みに悩む方への読み物です。

店主 小野澤 祥子

ヘナと藍を重ねる二度染めの流れ

白髪にヘナだけを塗ると、明るいオレンジに染まります。あのミカンの皮のような色を鏡で見て、「思っていたのと違います」と困ったお顔をされる方は少なくありません。そこで登場するのが藍です。ヘナで染めた髪の上から藍を重ねると、オレンジの上に青が乗って、深いブラウンやダークグレーに落ち着いていきます。

わたしはこの二度染めを「ツータッチ」と呼んでいます。一度目にヘナのペーストを塗り、時間を置いてから洗い流します。乾かしたあと、二度目に藍のペーストを重ねます。藍は水で溶いてすぐに使う植物で、時間との勝負のようなところがあります。溶いた瞬間から色みが変わっていくので、塗り始めのタイミングを見ながら進めています。

続けて塗るぶん、椅子に座っている時間は長くなります。読書用の本や好きな飲み物を持ってきてくださる方も多く、うちの店ではその時間そのものを楽しんでいただけたらと思っています。

赤みを抑える理由

そもそも、なぜオレンジのままではなく藍を重ねるのか。理由のひとつは、日本人の髪と白髪の色みのバランスです。黒髪は光に当たると赤みを帯びて見えることがあります。そこにヘナのオレンジが加わると、白髪の部分だけがぱっと明るく浮いて、頭のてっぺんが華やかになりすぎるように感じる方が多いのです。

藍を重ねると、その赤みやオレンジみを打ち消す方向に色が動きます。補色というのですが、赤の反対側にある青を重ねることで、全体が落ち着いた色に見えるという仕組みです。染料同士が化学反応で強く結びつくというより、それぞれの色素が髪の表面にとどまり、光の反射の仕方を変えている、というイメージに近いように感じます。

「派手にはしたくないけれど、真っ黒も不自然に見える気がします」と伺うことがあります。ツータッチでは、藍を重ねる濃さや置き時間を変えることで、少し明るさを残したブラウンにも、深いダークグレーにも寄せていけます。ご希望と、その日の髪の状態を見ながら決めていく作業です。

通うペースの目安

ツータッチは、髪の傷みを抑えながら白髪を落ち着かせられる代わりに、色の出方に少しだけ個性があります。染めた直後は青みがやや強めに見えて、日を追うごとに空気と光に触れて色が深まっていきます。だいたい一週間ほどで、落ち着いたブラウンやグレーに変わっていく方が多いです。

根元の白髪が伸びてきて気になり始めるのは、四週間から六週間くらいのタイミングです。頭皮の状態や、白髪の量、髪質によって差はあります。伸びるのが早めの方は三週間で気になり始めますし、ゆっくりの方だと2か月近く空けても大丈夫、ということもあります。

初めての方には四週間ごと、少し慣れてこられたら五、六週間に一度、と伺いながらペースを決めています。ヘナと藍は続けるほど色が積み重なっていく感覚があるので、あわてず、ご自身の暮らしのリズムに合わせて通っていただけたらと思っています。

気になる色みや通う間隔があれば、席についたときに聞かせてください。前回染めたあとの写真を残しておくと、季節ごとの見え方の変化を一緒に見返せて、次にどう寄せていきたいかを話しやすくなります。