AGE
グレイヘアへの移行期間、無理せずゆっくり
グレイヘアへ切り替えたい方の移行期間について、中間の色味の作り方やハーブ染料を薄く重ねる方法を、うちの店で伺うお話や日々の経験からまとめました。焦らず進めるためのヒントです。
グレイヘアに切り替える時期の悩み
「そろそろ染めるのをやめようかな」というお声を、ここ数年よく伺うようになりました。50 代の後半から 60 代にかけて、白髪染めの頻度と髪への負担が気になり始める方が多いように感じます。ただ、いざ移行しようとすると、一気に切り替える踏ん切りがつかない、というお話もよく伺います。
実際、根元は白、毛先は暗いブラウン、その境目が鏡を見るたびに気になってしまう。この境目とどう付き合うかが、移行期間の一番の悩みどころではないでしょうか。わたし自身も、お客様の髪を触りながら「どこで折り合いをつけるか」を毎回一緒に考えています。
時間をかけてゆっくり色を抜いていく方もいれば、思い切ってショートに切ってしまう方もいらっしゃいます。どちらが正解ということはなく、その方の暮らし方や、鏡に映る自分をどう見たいかで変わってくるように感じます。
中間期間の色味の作り方
移行の途中で一番むずかしいのが、境目のコントラストです。白と濃い色がくっきり分かれてしまうと、伸びてきた根元が余計に目立って見えます。この差を柔らかくするために、うちの店では毛先の色を少しずつ明るく、根元近くの白には淡く色をのせる、という調整をよくします。
具体的には、毛先に入っているブラウンを一気に抜くのではなく、ハーブの成分でゆっくり退色させながら、根元には藍とヘナを混ぜたやや淡い色を重ねていきます。すると、境目がはっきりした線ではなく、少しずつ移ろっていく面になっていきます。
「先週よりも根元が浮かなくなった気がする」というお声を、この時期の方から伺うことがあります。急に明るくするのではなく、少しずつ差を埋めていくので、周りの方から気づかれずに移行できるのも、この方法のよいところだと感じています。
香草カラーの染料は化学染料と違って穏やかに入るので、境目のグラデーションを作るのに向いているようにも思います。
ハーブ染料を薄く重ねる方法
移行期間にヘナや藍染などのハーブ染料を使うときは、しっかり染めるというよりも、薄く重ねていく感覚が向いています。一度に濃く入れてしまうと、いざ白髪を活かしたい段階になったときに、その色が邪魔をしてしまうことがあるからです。
わたしがよくお伝えするのは、白髪の割合が多い前髪や顔まわりから、淡いトーンで色を入れていく方法です。全体を均一に染めるのではなく、目に入りやすい場所だけを整えると、白の分量が自然に増えていっても、疲れた印象になりにくいように感じます。
ハーブ染料は発色が穏やかなぶん、月に一度、あるいは2か月に一度と、ご自身のペースで調整しやすい面もあります。頭皮の状態が気になっていた方が、移行期間を機にノンジアミンへ切り替える、というお話も伺います。ジアミンでかゆみが出やすかった方には、この時期がひとつの区切りになるかもしれません。
もちろん、頭皮のかゆみや赤みが続くようなら、皮膚科でのご相談も合わせて考えていただくと安心です。うちの店でも、その方の頭皮の状態を見ながら、染める頻度や薬剤の量を一緒に決めていきます。アーユルヴェーダの考え方に近い、体の様子と髪の様子を合わせて見ていく時間、と思っていただければうれしいです。
グレイヘアへの移行に、決まった正解はないと思っています。焦らず、鏡の中の自分と少しずつ相談しながら進めていく。その時間そのものが、次の髪との付き合い方を作っていくのだと、日々感じています。