AGE
40 代・50 代・60 代の白髪染めで、髪と頭皮に負担をかけない染めかた
40 代から 60 代にかけて白髪染めで感じる髪と頭皮の変化を、年代ごとの悩みと染料の選びかたに沿って整理し、香草カラーやヘナ、藍染がどんな場面で向くかをまとめた読み物です。
40〜60 代の女性が白髪染めで感じてきた変化
うちの店にいらっしゃるお客様と話していると、白髪染めの話題はほとんどの方が「昔と同じようにはいかなくなってきた」というところから始まります。20 代、30 代の頃はとにかく染まってくれれば嬉しくて、色や薬剤のことをそこまで気にせずに済んでいた方が多いように思います。
それが 40 代を過ぎたあたりから、染めた翌日に頭皮がヒリヒリした、以前は感じなかった痒みが出た、髪がゴワつくようになった、というお声が増えてきます。もともと丈夫だった方でも、体調や季節、更年期の入り口あたりで急にしみるようになったと伺うことがあります。
わたし自身、日々お客様の頭皮に触れさせてもらう中で、白髪染めというのは「色が入ったかどうか」だけではなく、「終わったあとの頭皮と髪がどんな状態か」がとても大事だと感じるようになりました。染めたあと数日間、頭皮が敏感になってしまうと、次に染めるときの怖さにつながってしまうからです。
年代ごとに、髪も頭皮も少しずつ違うテーマを抱えていくものです。ここからは、40 代・50 代・60 代というざっくりした区切りで、その時期にありがちな変化と、白髪染めの見直しどころをお話ししてみます。あくまで目安なので、当てはまらない方もいらっしゃるはずです。ご自分の髪と重ねながら読んでみてください。
40 代のはじまりの時期、頻度と方法の見直しどき
40 代は、白髪染めとの付き合いかたを本格的に組み立て直す時期にあたる方が多いように感じます。それまで気になっていた分け目やこめかみの白髪が、この頃になると全体的にも増えてきて、月に一度は染めないと落ち着かない、という状態になっていきます。
ここで多いのが、「とにかく間隔を短くして根元を染め続ける」というやりかたです。仕事や家庭のことで忙しく、時間の合うときにセルフカラーで済ませることも増えてきます。悪いことではないのですが、頭皮に薬剤がのる回数が一気に増えるのは、この 40 代からです。
40 代のうちに一度立ち止まっていただきたいのは、「頻度」と「範囲」の見直しです。毎回、頭のてっぺんから毛先まで同じ薬剤をつけていないでしょうか。根元の生えてきた部分だけを染めれば済むこともあれば、毛先はトリートメントや香草カラーで色味だけ足すという整理のしかたもあります。
わたしがお客様と最初に話し合うのは、この「どこを、どのくらいの頻度で染めるか」という組み立てです。同じ 40 代でも、白髪の出かたも、髪質も、頭皮の敏感さもまったく違います。今の染めかたが 10 年後の髪と頭皮につながっていくと考えると、この時期の見直しはあとから効いてくる、そんな気がしています。
50 代の髪の変化と染料の関係
50 代に入ると、髪そのものの手触りが変わってきます。これまでよりも 1 本 1 本が細くなってきた、根元のボリュームが出にくくなった、乾かしたあとにパサつきやすくなった、うねりが強くなった、というお声をよく伺います。
髪が細くなると、実は白髪染めの色の入りかたも変わります。太くて健康な髪より色素が定着しにくくなり、同じ薬剤でも褪色が早く感じることがあります。そうすると「もっと濃い色でしっかり入れてほしい」というご希望につながりやすいのですが、ここで一度立ち止まりたいところです。
濃い色でしっかり染めようとするほど、酸化染料の濃度が上がり、頭皮への負担も増えていきます。頭皮が受け止められる範囲を超えてしまうと、痒み、赤み、しみる感覚といったサインが出てきます。50 代になって急に「染めたあとにフケのようなものが出るようになった」と感じる方は、この頃の負担の積み重ねが背景にあることが少なくありません。
うねりやパサつきの原因は薬剤だけではなく、女性ホルモンや頭皮の乾燥とも重なるので一概には言えないのですが、染料と髪の状態は思っている以上に連動しています。50 代は、「無理に濃く入れない」「毛先には強い薬剤をのせない」といった、引き算の発想が効いてくる時期のように感じています。
60 代の白髪の量と、色味の考えかた
60 代になると、多くの方は白髪の比率がぐっと上がってきます。半分以上が白髪になる方もいらっしゃいますし、全体の 7 割、8 割が白髪、という方も珍しくありません。
このくらいの割合になってくると、「濃い茶色でしっかり染める」という方針そのものが、髪と顔映りに合わなくなることがあります。真っ黒に近い髪と、少し明るくなってきた肌色の間で、根元と毛先の境目が目立ってしまったり、染めたあとだけ急に若い頃の髪色に戻ったように見えて違和感を覚える、というお話も聞きます。
わたしがよくお伝えするのは、「白髪を無理に隠しきらない色味も、選択肢に入れてみませんか」ということです。少し明るめの色で全体をなじませる、白髪と染めた部分の差を柔らかくする、暖かみのある色味で顔映りを支える、という組み立てです。
「白髪を活かす」というと勇気がいるように聞こえますが、いきなり真っ白にする話ではありません。しっかり染めることと、そのまま伸ばすことの間には、たくさんの中間があります。60 代は、この中間を探していく時期でもあると思います。ご自分の顔と髪を鏡でよく見て、「本当はどのくらいの明るさが心地よいか」を、少し時間をかけて言葉にしてみていただきたいのです。
ハーブ由来の染料が向く場面
うちの店では、ジアミン系の薬剤を使わない染めかたとして、香草カラーやヘナ、藍染といったハーブ由来の染料を扱っています。これは「こちらが優れていて、こちらが劣っている」という話ではなく、時期や目的で使い分けたいものだと考えています。
ハーブ由来の染料が向いていると感じるのは、たとえば次のような場面です。
- 染めた翌日に頭皮がしみたり、痒みが出る状態が続いている方
- 白髪の量はそこまで多くないけれど、頭皮と髪の負担を減らしたい方
- 髪のハリやコシが落ちてきて、髪そのものを支えたいと感じている方
香草カラーは、ハーブと少量の染料を組み合わせるタイプで、白髪をしっかり暗く染めたい方にも合わせやすい染めかたです。ヘナは草木そのものの色素で赤みのある色に染まり、髪の 1 本 1 本にコシが戻ったように感じる方が多いです。藍染は、ヘナと組み合わせることで青みを重ね、深い色合いを出すことができます。
一方で、明るい色にしたい、真っ黒に近い色にしたい、というご希望には、ハーブ由来の染料だけでは応えきれない部分もあります。ハーブは「明るくする力」を持たないからです。「今の髪をどうしたいか」と「頭皮のいまの状態」の両方を見比べながら、その日いちばん心地よい染めかたを選んでいくのが自然だと考えています。
どんなときに「一度お休みする」ことも選択肢か
ときどきわたしが、「今回は染めるのを少しお休みしませんか」とお話しする場面があります。染めたい気持ちで来てくださっているのに、水を差すようで申し訳ないと思いつつ、伝えるほうがいいと感じる状態というのが確かにあります。
たとえば、頭皮に赤みや炎症が出ているとき。前回の染めから 2 週間経っていないのに痒みが続いているとき。皮膚科でお薬をもらってケア中のとき。こうしたときは、染料の種類を変えるだけで解決しないこともあり、髪よりも頭皮そのものを休ませることが先になります。
体調が大きく揺れているときも、少し慎重に考えたい時期です。更年期の症状が重なっているとき、大きな手術のあと、季節の変わり目で肌が敏感になっているとき。こうしたときはいつもと同じ薬剤で同じように染めても、頭皮の反応が変わることがあります。気になる方は皮膚科でのご相談も合わせていただくと安心です。
「染めない期間」を持つことは、白髪染めをやめる話とは違います。数週間から数ヶ月、頭皮を休ませて整えるという時間の使いかたです。その間はカラートリートメントや、根元だけの部分染めで乗り越える方もいらっしゃいます。染め続けるためにこそ、ときどき休むという発想を持っていただけると、10 年、20 年先の髪との付き合いが楽になると感じています。
アオイヘアーでのカウンセリングで伺うこと
初めてのお客様には、椅子に座っていただく前に、ゆっくり時間をとってお話を伺うようにしています。伺うのは主に、これまでどんな染めかたをされてきたか、頭皮にどんな変化を感じているか、髪をどうしていきたいか、という 3 つの軸です。
これまでの染めかたについては、市販のカラー剤を長く使ってこられた方、美容室で長い間同じ薬剤で染めてこられた方、白髪染めと明るい色を交互に繰り返してきた方など、本当にさまざまです。過去にジアミンでかぶれた経験があるかどうか、パッチテストで反応が出たことがあるかどうかも、大事な情報として伺います。
頭皮の変化については、痒みが出るタイミング、しみる部分、フケや赤みの有無、生え際や耳のうしろが敏感になっていないかなど、細かく見せていただきます。ご自分では気づきにくい部分もありますので、一緒に鏡で確認する時間として使っていただければと思います。
そのうえで、「今日どうしたいか」だけでなく、「これから半年、1 年をどう組み立てていくか」を一緒に描かせてもらいます。全部を一度で決める必要はありません。1 回目は様子を見ながらの薬剤で、2 回目からは香草カラーに切り替える、という進めかたも十分ありです。
ご自分の髪と頭皮のことを、誰かとゆっくり話す時間はなかなかないものです。うちの店では 1 日 2 名までのマンツーマンで、そうした時間を大切にしています。もし気になっていることがあれば、まずはご相談だけでも構いません。柳井市南町の青いドアを開けて、少しお茶でも飲みながら、これからの髪の話をしにいらしてください。